【Webクリップ】女性審判員の先頭を走る山下良美氏

日本サッカー界初の女性プロレフェリーの誕生

 2021年WEリーグ開幕により女性サッカー選手のプロ化が進んできたが、女性審判員のプロ化には至っていなかった。もちろん審判員制度は整備されていたが、専業審判員の意味でのプロは存在していなかった。そんな中でプロの女性審判員が誕生したため、注目を集めている。

 プロフェッショナルレフェリー(PR)とは、トップレベルの審判員が審判活動に専念できるようにJFAが導入した制度のこと。給料は非公開だが、目的から考えて審判業務だけで十分に生計が立てられる程度の金額であると予想される。実際、山下氏は今回の契約にあたり、これまで勤めていたパートタイムのトレーニングジム勤務から離れて専業審判になるとのことだ。
 この制度は年単位の契約で、勤務内容によっては更新されない可能性もある。そうした安定していなリスクも金額に織り込まれていると想定される。

女性審判員の先頭を走る山下良美氏

 山下良美氏は現在の女性審判員の先頭を走る方で、これまでも数々の”初めて”を成し遂げてきた。2021年にJリーグ初の女性主審担当、2022年にはACL史上初の女性主審担当と、男性サッカーにおける女性審判の存在感を上げてきた。そして2022年のFIFAワールドカップの主審候補者にも選ばれており、大会史上初の女性主審の誕生が期待されている。
 このように女性審判員のパイオニアとして走り続けてきたことを踏まえると、山下氏がプロレフェリーに選ばれることは妥当といえるだろう。プロレフェリーは審判業務に留まらず、審判育成にも関わることになるため、今後の日本サッカー界への影響は強くなっていくだろう。

女性審判員の未来

 女性審判が男性サッカーの試合を担当することに疑問を持つ人もいるだろう。個人的には能力のある人には相応しい環境が与えられてほしいと思っており、こうした動きには賛成だ。もちろん身体的な差異はあるが、それに関係なくレフェリングスキルが十分であれば、堂々と世界の舞台で戦ってほしい。
 とはいえ、やはり男性サッカーが優位である認識をうっすらと感じてしまう。山下氏が以前語ったビジョンの達成に向けては途上であり、女性サッカーの地位向上の歩みを止めてはいけない。

私たちの将来的なビジョンは、これが普通の状態であるということです。男子の試合、女子の試合、男性審判、女性審判に関係なく、サッカーはサッカーです。すべての審判が、どんな試合でも自分の可能性を発揮できる。これが私たちの未来へのビジョンです

ACL初の女性主審に…山下良美審判員が語るビジョン「男女に関係なく、サッカーはサッカー」