【積読メモ】普段触れることが少ない子どものスポーツ環境を知る

接点の少ない子どものスポーツ環境を把握する

 私自身社会人として生活する中で育成年代のスポーツと関わる機会はなく、観る対象としてはプロスポーツがメインです。しかしスポーツの文化を広く考えようとするとそれでは足りません。たとえばプロスポーツ選手の育成の場としての性格を、育成年代のスポーツはもっています。そのため育成年代のスポーツ環境の改善はプロスポーツの魅力向上に繋がる可能性があります。
 またその環境の改善は競技人口に大きく影響されるため、そもそもの競技人口を増やすことが重要です。そのため地方のスポーツ施設の充実などが、実はプロスポーツにも関わってきます。そうした施設はプロクラブも利用することもあり、複数の点で重要です。

日本の格差問題を考える一つの切り口として抑える

 社会における格差はどの国、どの時代においても問題となります。近年の経済を支える資本主義は経済成長をもたらす反面、差分が利益を生む性質から格差を拡大する問題を孕んでいます。そのため我々は常に格差を検知し、再配分等による改善を進めていく必要があります。
 とはいえ「格差」と言っても色々あり、経済格差や男女格差、教育格差などが代表として挙げられます。その具体例の一つである「スポーツ格差」を取り上げているのが本著です。体力の二極化や、スポーツ頻度の二極化などを単なる体育授業の問題に留めず、社会における格差問題として見るとどうなるかを考察しています。
 格差の研究が進むにつれ、教育格差と経済格差が強く関係があることがわかってきたように、スポーツ格差も実は他の格差がきっかけに生じている可能性もあります。そのためスポーツ格差を見ることで、その裏にある別の格差を考える材料にもなると思い、積んでいます。

スポーツ政策の一端を学ぶ

 日頃からスポーツ文化を考える上でよくぶつかるのがスポーツ政策です。スポーツに限らず、生活を支える政策は見えにくく、普段意識しません。しかし物事を少し深く考えてみると、国や地方自治体の政策の影響を受けていることがたくさんあります。
 たとえばJリーグの声出し禁止は、政府の新型コロナ対策の方針を受けて定められたルールであり、Jリーグが独自で勝手に決めているわけではありません。そのため声出しを解禁するためには、政府と会話をしながら調整していく必要があります。その他にも地域のスポーツ支援政策なども地方自治体ごとに異なり、それによってJリーグクラブの運営が変わっていたりします。
 そんなスポーツ政策について、子どもたちのスポーツ格差を切り口に意識する良いきっかけにできればと思い、積みました。