メモ|育成環境にも「下積み」を美とする価値観がある

要約

  • ドイツのプロサッカークラブの下部組織のコーチの多くは最低賃金を下回る労働環境で働いている。
  • ドイツサッカー協会(DFL)は各クラブにアカデミー設置を義務化しているが、指導者の雇用形態については規定しておらず、監督責任がない。
  • キャリアアップを図るために、劣悪な労働環境でも我慢するコーチも多くいる。

メモ

 育成環境の整備において重要な要素である「指導者の待遇」。日本だと部活の顧問に正当な対価が支払われていない話も多く耳にするが、そもそも指導者の負担が大きいように思う。全ての指導者に対価が支払われることが理想的ではあるが、すぐには困難だ。であるならば、アウトソーシングできる作業を抽出するなど、業務改善の方向で検討が必要だ。実際に杉並区の中学校ではコーチを外部委託する事例もあり、共助する体制構築が進んでいる。

 コーチに限らず自身のキャリア形成の一環、いわゆる「下積み」を美とし、多少劣悪な労働環境であっても問題ないとする価値観は、日本に限った話ではないようだ。経験がないと参入できない労働市場の特徴を考えれば、労働対価を犠牲にしてでもアカデミーに関わりたいと個々人が思うのは当然だろう。ただそのやりがいを搾取する構造は歪であるため、労働と対価が見合っているかの監督もしくは条件設定が、リーグの責任としてあるべきではないか。