【積読メモ】テクノロジーによるスポーツの変化を受け入れるために

柏原全孝先生の論文に刺激を受けて購入

 先日オフサイド判定システムの記事を読んだ後、スポーツの判定テクノロジーについての知見を深めようと思って読んだのが柏原全孝先生の論文「正しい判定を作りだすテクノロジー」。これはテニスの「ホークアイシステム」を題材に、判定テクノロジーの社会学的含意を考察したもので、それのもつ性質や導入推進の理由が整理されています。

 この論文ではテニスの判定テクノロジーに限定して論じられていましたが、スポーツによって判定の性質が異なるため、結論も変わってくると思い、より多くのスポーツを取り上げている本書に関心を持ちました。加えて私自身普段はサッカーばかり触れている分、他のスポーツ事情が新鮮に映り、サッカー以外のスポーツとテクノロジーについても興味が湧いたので積みました。

『ポストスポーツの時代』に引き続き、テクノロジーとスポーツの関係について知見を深めたい

 判定に限らず、以前からテクノロジーとスポーツの関係には関心が高く、この本も例に漏れず読みたいと思っていました。判定だけでなくトレーニングにもテクノロジーが導入されている昨今、このデジタル化の流れは止まらないでしょう。ただ自分自身その流れを100%受け入れられているかというとそうではなく、やはり古き良き何かが失われる感覚も持っています。そうした違和感を払拭し、テクノロジーによるスポーツの変化を受け入れるために考え続けてきました。

 スポーツとテクノロジーの関係の中でも、本書は主に判定テクノロジーに焦点を当てており、スポーツのルールへの影響がメインテーマのようです。他方で『ポストスポーツの時代』はテクノロジーを絡めた身体論だったので、方向性は異なるものの、通底するものはありそうなので、関連づけながら読みたいと思います。

サッカー以外の判定テクノロジーを知り、サポーターとしてどう受け止めればよいかを考えたい

 最後に1人のJリーグサポーターとして、VARの受け止め方が自分の中で曖昧な感覚を持っており、少しでも固められればなと思い、積みました。

 審判のあり方が変わること自体は、元々スポーツには審判すら存在していなかったのですから、肯定的に受け止めています。ただ選手やサポーターがどう受け止めていくべきかには疑問を持っています。たとえばVARによるオフサイド判定を絶対的な正として、ジャッジを誤った審判を叩く姿には、サポーターとしては拒否感を覚えます。

 とはいえ、テクノロジーによる急激な変化を受け止めるのが難しいことも事実です。なので今は過渡期と割り切って、VARのより良い受け止め方を模索できればと思っています。

参考

テクノロジーによるスポーツの変容をもっと知りたい方にはこちらの本がおすすめです。